NY・Sentimental

グラマシーの高級住宅街にあるカレンの家。

ライトアップされた広い芝が美しい家。

カレンが必死で守ろうとする人々のいる家。


彼女は道路からその敷地内に入る場所で、俺の貸したThe Shawshank Redempton の文庫本を左右に振って、無邪気な顔で笑った。


「明日ね、セイジ。これありがと。きっとわたしはすぐ読んじゃうわね」


そこに彼女が入っていくのを見届けながら、またあの、黒雲のように湧き上がる不安を、俺はどうすることもできなかった。


< 274 / 351 >

この作品をシェア

pagetop