NY・Sentimental
4.◇something borrowed .◇ 花連
矢のように過ぎた時間。
夢のようだったセイジとの休日。
これはわたしが勝手に作った妄想なんじゃないかしら?
明日、会社に行ったら、わたしとセイジはなんてことのないもとのままの上司と部下に戻っているんじゃないのかしら?
二夜の夢?
でも体が幸せで満たされて、今にも浮き上がりそう。
「ただいま」
「カレン、おかえり」
リラが小走りで広い大理石貼りの玄関まで出てきて、そこで胡散臭そうに眉間にシワを寄せ、立ち止まる。
「なによ? リラ」
「カレン……ジェシーと旅行は嘘だったのね」
「え?」
「もうっ! そんな夢見る少女みたいな顔しちゃって。さては王子様にめぐり会ったんだ? ついに落としたティアラを彼が持ってきたのね?」