NY・Sentimental

加えてこの救急車にお世話になる、という事態がしょっちゅうだったら、本当にうちは破産だ。


我が家が入っている保険は、かなり保障の薄いものだということがわかった。


もちろん救急車に対応などしていない。


午後からでも会社に行かなければ。


ずっと電源を切りっぱなしだった携帯のスイッチを入れる。


着信とメールの数が半端じゃなかった。


全部、セイジからだった。


唇を噛み締め、涙がにじみそうになる目を固く閉じ、ぎゅっと指に力を入れて開かないまま全て削除する。


どうしてこんなことがあとからあとから……。


いくら”きつい現実はスルー”がモットーのわたしでも、もうスルーできるキャパを超えている。

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