NY・Sentimental
会社に行く用意をしようと一度家に帰る。
病院内をふらふら歩いていると、また最初にパパが倒れた時みたいにセイジが『危ないよ』と、スニーカーを持って現れるような気がした。
もう、そんなわけはなのだ。
グラマシーの自宅の誰もいない真っ暗な玄関の前で、バッグから鍵を漁る。
ふと視界に普段目にしないものが入って、わたしはバッグを漁る手を止めた。
ドアの前に何か、茶色いペーパーバッグのようなものが丸めて置いてあるのが見えた。
わたしはのろのろとしゃがんでそのペーパーバッグを取り上げ、中身を確認した。
「どうして、これが……」
中から出てきたのは、あの、結婚式の日に教会の裏庭でバレエを踊っていて落としてしまったティアラだった。
どういうこと?
もっと何かが入っているんじゃないかと、ペーパーバッグの中に手を突っ込んで探る。
メモ。メモが入っている。