NY・Sentimental


いつも第三ボタンまで外してあるカッターシャツのボタンが、きっちり一番上のひとつを除いて留められていたのだ。


どういうこと? 
わたし、こんなことはしていない。

「ほらね。カレン。色仕掛けなんか使わなくたって、ちゃんと商談は成立するでしょう? あんまり男全部をバカにしないほうがいい。そんなものにひっかかるのはほんの一部だ」
「セイジ?」

勝ち誇ったように、得意げな微笑みを浮かべるセイジ。

「セイジなの? いったいいつの間に……」

そうだ!! 

セイジが床に置かれた小箱に躓いて、転んで、わたしの腕を掴み、わたしの身体にばらまかれた書類を拾って……。
その時?

< 29 / 351 >

この作品をシェア

pagetop