NY・Sentimental
いつも第三ボタンまで外してあるカッターシャツのボタンが、きっちり一番上のひとつを除いて留められていたのだ。
どういうこと?
わたし、こんなことはしていない。
「ほらね。カレン。色仕掛けなんか使わなくたって、ちゃんと商談は成立するでしょう? あんまり男全部をバカにしないほうがいい。そんなものにひっかかるのはほんの一部だ」
「セイジ?」
勝ち誇ったように、得意げな微笑みを浮かべるセイジ。
「セイジなの? いったいいつの間に……」
そうだ!!
セイジが床に置かれた小箱に躓いて、転んで、わたしの腕を掴み、わたしの身体にばらまかれた書類を拾って……。
その時?