NY・Sentimental
道路には黒塗りのベンツが止まっている。


夕食の時間にあわせ、部長何人かと、現在ヘルニアで入院中の副社長のところへ説明に向かうのだと言うことを、わたしは自分のデスクで直属のボスから出社時に聞いた。


その情報を受け、わたしはジョージとケイトに指示を出して、必要な資料を集めてもらい、それを手早くまとめた。

出来上がったものを、ケイトに頼んでセイジに渡しておいてもらったのだ。






エントランスフロアで、なにげなくすれ違おうとしたわたしの腕を、部長たちに囲まれながらの無理な体制から、セイジががっちりと掴んだ。


「うちのチーム長です。昨日と本日の午前、休みを取っていたので僕がかわりにご説明に上がりましたが契約を取ったのは彼女です。チーム長の同行許可をお願いします」


部長連中がわたしを見て笑顔になるのを、必死で遮った。


「本日打ち合わせのため、ソン・ホールディングスの元村専務に呼ばれております。Mrマミヤに任せておけば説明は心配ありません」

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