NY・Sentimental
彼女には、俺という本命がいる。


悠馬はただの遊びでしかないということを。


俺が結婚の打ち合わせも兼ねて彼女のアパートを訪れ、そこから二人でホテルで開催されるブライダルフェアに参加した日のことだ。


現実を知り正気に戻ってもらおうとした朝希ちゃんが、口実をつけて悠馬をそこに呼び出し、ウエディングショーを見ている俺とその女を指差した。


意味のわからない悠馬はもちろん彼女に説明を求めてつめより、彼女はなんと俺への言い訳のために悠馬をストーカー扱いしたのだ。


そこで悠馬はようやくいままでの全てが嘘だったことを悟る。


吐き捨てるように女への侮蔑的な言葉を口にした。


当時は自分の彼女だった女を口汚く罵られた俺は、頭に血が上って悠馬に殴りかかった。

場所はウエディングショーのあったホテルの目の前の道路だ。


あの時を振り返ればいったい俺は何をやっているんだ、と反省の嵐だけれど、まさか彼女が悠馬に対してそんな卑劣なことをしていたとは知らず、もう俺と大差のないくらいは身長のあった悠馬に、容赦なく拳を食らわした。


つもりだった。
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