NY・Sentimental
「俺の実力はあなたが一番知っているでしょう?」


「そうね、その通りだわ」


一瞬の間ののち、男はトランクじゃないほうの手持ちの鞄から、なんだか次々に品物を出してきた。


「おみやげがあるんだ。いろいろ」


小さな小さな箱が二つと無造作に丸められた茶色い紙袋だ。


「ほら、これ。約束したサファイアのピアス、それからこれ、すっごいびっくりすると思うよ」


小さい箱のひとつの蓋を開け、わたしの目の前に差し出してから紙袋に手をかけ、中のものを引っ張りだす。


年季が入ってピンクから色が抜けるように変色している、片方だけのトゥシューズだった。


「ど……どうしたの? これ」
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