NY・Sentimental
「俺がやってるという証拠でも?」
『僕』が『俺』になっている。
ただそれだけのことで、セイジはオフィスで見るよりもずっと尖った印象になる。
「証拠はなくてもあなたよね?」
「そうです」
そう言って彼はわたしにぐっと詰め寄り、すぐ横にあった消火器をセッティングしてある備え付けのガラスケースの上にファイルを置いた。
そして、わたしの胸元に両手を伸ばし、またすごい早業でボタンをふたつとめた。
「聞こえなかったの? だからこういうことは……」