NY・Sentimental
「カレン……」
セイジの呟きのあと、わたしはいきなりふらついた。
もたれて体重の七十パーセントを預けていたわたしの身体を、さりげなく、けれどはっきりとふりほどいてセイジが遠のいたからだ。
その様子を見て、ジョージがぷっと吹き出す。
わたしが男に振り払われたのが、そんなに楽しいの。
「よろしく。セイジ、一緒のチームで働くジョージだ。悪かったね。赴任早々、休暇をとって」
ジョージがセイジに向き直っておだやかな声をかけた。
「びっくりしましたよ」
そう言ってジョージに笑いかけるセイジに、もうさっきの尖った雰囲気は微塵もなかった。
「マリッジ休暇だったものでね」