NY・Sentimental
自分にも新しい男がいるとでも見せつけたくて、俺をダシに使おうとしたのか。
だからいつもは避けまくっている俺に、あの時だけ擦り寄ってきたのか?
ここでも俺はただのいい人?
俺はまだコピー機をがたがたいわせ、その機械と不毛な闘いをしているカレンを見つめた。
小さくため息をついて、彼女のほうに歩き出す。
日本を出る時、もう『ただのいい人』にはならない、と決めた。
だけど困っている上司を見てみぬふりをすることが、いい人にならない、ということじゃない。
俺は日本にいた頃の自分を、自分で否定したいわけじゃないんだ。
「何をしてるんですか?」