NY・Sentimental
転んだ?
転ぶまではいかなかったけれど、カレンはコピー機を支えにし、どうにかやっと立っていられる状態だった。
また俺はこの男のあてつけに使われるのか。
「何してるんだカレン」
高いヒールの靴が片方ぬげたことでバランスを保てず、コピー機にしがみついている彼女に、ジョージが手を差し伸べようとした。
「大丈夫ジョージ、手を貸してもらわなくても結構よ」
抑えたような、でもきっぱりとした声でカレンが言い放った。