NY・Sentimental
カレン……。
チーフは間違いなくカレンだった。
結婚するのはカレン、のはずだった。
なのに結婚したのはジョージとケイト。
俺はだらりと垂れ下がった手に携帯を持ったまま、まだなにかケイトに指示しているカレンの華奢な背中を見つめた。
ありえないシュチュエーションだろう?
結婚という人生の晴舞台で自分を裏切った男が、四人しかいないチームの部下。
それでも君はそうやってなんでもない態度で、仕事に臨むのか。
いや……なんでもなくは、なかったよな。
俺に頼ったよな。
どうにもならなくなって、そのへんにある木にでも、ふらついて思わずもたれかかりそうになった、という感じだったけど。
それでも、確かに君は、間違いなく俺に頼った。