NY・Sentimental
◇◇◇
「カレン、重いならそれは俺が持とうか」
「ほおっておいてくれないかしら。ジョージ」
あれから数週間、俺はカレンに謝れずにいる。
もうこんなに時間がたってしまい、今さら感がぬぐえない。
だけど、謝りたい謝りたいという気持ちが胸に渦巻き、気づけばカレンをちらちらと目で追ってしまっている。
「カレン、ほら君は腰もよく悪くするし。その資料ファイルは俺が整理するから」
「自分の持ち場に戻りなさい、ジョージ。それから今度のプレゼンだけど」
「ああ。資料も作るし、補佐はきちんとやるよ」
なんだってこのジョージという男は、こんなにカレンを気にするのだろうか?
自分がカレンから乗り換えてまで妻にしたケイトが、すぐ側で胡乱げな眼差しを向けているよ。