NY・Sentimental

就業時間はたいぶすぎ、パラパラと人はオフィスを離れはじめているけれど、ニューヨークの日の入りは遅く、外はまだ充分明るかった。

「補佐はセイジに頼むわ。あなたの休暇の間にセイジが完璧に近い資料を作ってくれて、もう彼のPCに入っているの。あれはセイジでないとわからないわ。あなたはケイトと帰っても問題ないわ」
「何言ってるんだ。セイジはまだ赴任して間もない。こんな大役は無理だよ」

「無理じゃないよ。ジョージ」

俺は立ち上がった。

「大丈夫だジョージ。俺が資料を作ったんだ。あとは最終の調整だけだ。自信はあるよ」

一歩、ジョージのほうへ踏み出しながら、にこやかにたたみかける。

「帰っていいよジョージもケイトも。あとは俺とカレンでやるから」

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