NY・Sentimental

「時間外だから大変なほうが行くの。わたしはセイジより大変なのよ」
「どうして?」
「男のあなたにはわからないでしょうけど、胸が大きいと肩が凝るのよ。あなた、胸ないでしょ? だからあなたが行くの」

そんなことを、いたってマジメにカレンが答える。
疲れて本音を隠す気力がないのと、頓着しない性格なのと両方という感じだ。

「なんですか。その理由」

確かにカレンの顔は小さく、首も細く、小柄で華奢なわりには胸はそれなりにあるという体型だ。
その細い首で頭を支えるのは大変そうだと思っていたら、女性は胸があると肩まで凝るのか。
知らなかったのは、そんなことを男に面と向かって訴える女性に、今まで遭遇したことがなかったからだ。

「セイジ、あとどのくらいで終わる?」



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