NY・Sentimental
「三十分くらいかなぁ」
「もうそんな? セイジ打つの早いもんね。あと三十分だったらそのまま続けなさいよ。わたしはまだかかりそうだから、下でお茶飲んでこよう」
カレンは立ち上がった。
立ち上がってふらついて椅子に掴まった。
高いヒールはその細い足首にも、相当負担をかけているような気がするよ。
「お腹すかないカレン?」
「そりゃすくわよ。夕食抜きでがんばってるんだから……」
「そうだな」
二人で話すとき、カレンは日本語になる。
カレンにとって、日本語のほうが楽なのか英語のほうが楽なのかはわからない。
いや、日常のほとんどの時間を英語で過ごしてきたんだから、おそらくは英語のほうが楽なんだろう。