NY・Sentimental

会話の途中、たまに不自然に口を閉じ、日本語につまっていると見受けられることがある。
だけど俺が日本語のほうが楽に決まっているから、カレンはこうやって二人きりの時には日本語で話してくる。

「セイジ、ごめんね」
「え?」
「ジョージとケイトにも手伝ってもらえばよかったね。そうすればここまで重労働にはならなかった。こんなに大変だと思ってなかったのもあるけど、半分はわたしの意地みたいなもんだもんね」

俺が謝ろうとしていたのに。
傷ついている君に自分のイラつきからひどい言葉を投げたことを、謝る機会をここ数週間、ずっとずっと探していたのに……。
こんな不意打ちで、先にまた謝られた?

「知ってるんでしょ?事情」

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