NY・Sentimental
「カレン、ボタン……」
カレンが机に両手をついて立ち上がりながら答える。
「ああ。セイジと二人で仕事をするのにあなたの嫌いなかっこで不愉快な思いをさせてもね。私情で振り回しちゃったどうしようもない上司に、ここまでがんばってフォローしてくれてるんだから」
嫌いなかっこじゃなくて……、いや、むしろ好きなかっこだから、それはカレンのためによくないと、俺は判断しているんだ。
君を、男連中の無意識ではあっても下品な視線から守りたいと、そういう俺の気持ちは全く理解されていないのか?
「だけど、これだから胸のない男にはわたしの苦労がわからないのよ」
「は?」