NY・Sentimental

歳だって二つ三つ若返って、きっとスーツを着ていなかったら学生だと言っても通りそうだ。
社内で一度だけ見たカレンと、どこか共通するものがある。
俺に、ジョージのことを謝ったあの時のカレン、プライベートの表情だ。

「ふだん、何を飲んでるんですか?」
「ワイン、かな」

ここは酒をなんでも置いているみたいだな。
日本料理だからといって日本酒とビールのみというわけにはいかないんだろう、ニューヨークだもんな。

ワインか、わからない。

「じゃあカレンの好きなワインにつき合います。詳しくないんで。俺、なんでも飲めるから。あ、できればあんまり甘くないのだと嬉しい」

彼女に気づかれないように小さくため息をついた後、メニューを返す。
かっこ悪いけど、どうしようもない。
知ったかぶったところで余計にボロがでるだけだ。


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