NY・Sentimental

「せめて時間外はその異常にヒールの高い靴はやめたら」
「めちゃくちゃセイジとの身長差、できるなぁ」

その言葉に心臓がドキっと跳ねる。
そんなことをカレンは考えているのか。

いや、今、ふっと感じたことをそのまま言葉にしただけなんだろうけれど、だからこそ、深く酔っていて取り繕う思考を持たない今だからこそ、そのセリフにカレンの深層心理を見た気がする……というのは俺の願望か。

「スーツ、しわにならない? 着替えられないの?」
「無理……、でもこのスーツ高かったなぁ……」
「じゃあほら上着だけ」
「うん……」

素直すぎる返事のあと、眉間にしわを寄せてベッドに座り、ぐらつく身体でおっくうそうにカレンがやっと脱いだ上着を、ハンガーにかける。

「おやすみ……ありがとう。ごめんね。気をつけて帰ってね。セイジお酒強いのね。楽しかったわ」

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