トリップしたら魔王の花嫁⁉ ~勇者の生贄にされそうだったので敵の敵は味方と思い魔王に助けを求めたら本当に来ました~
ギルは私を抱き上げたまま、ギルの部屋に転移した。
中庭もそうだったけれど、ギルの部屋の内装も向こうの魔王城のそれだった。
隣の部屋に通じる内扉もあって、
「サラ、開けていいか?」
ギルに尋ねられるところまで、同じ。
「はい」
私は嬉しい気持ちで、そう返した。
ギィ……
初めて開かれる内扉に、その先がどんな部屋かを知っていても胸が高鳴る。
扉を通って踏み入れた部屋の景色は、やっぱり知ったもので。――いや、何だか様子がおかしい。
「わわ……ギル、これって?」
部屋の中、優雅に羽ばたく多数の小鳥。……と、思ったら違う、あれは折り鶴だ。
空飛ぶ折り鶴は、私が前にギルにあげたものによく似ていた。例の私のそっくりさんを出していた魔法で、ギルがこの折り鶴たちを出したのかもしれない。
「サラが、折り鶴が健康祈願だと話していたから」
「あ……」
私の健康祈願だったのか。ギルの答に、思わず目を瞠る。
パタパタ
折り鶴たちが、天井の一所に集まり出す。見ればそこには、鳥の巣のようなものが。
巣は、それなりの大きさがあった。これは中で千羽鶴が出来上がっていそう。
私が無事に帰ってこられたのは、この折り鶴のお陰もあったかもしれない。
「ありがとう、ギル」
ギルが「どういたしまして」と、私をベッドに下ろす。
ギルも一緒に横になる。ちゃんと宣言通り、寝てくれるようだ。
そのまますぐに「おやすみ」かと思いきや、ギルは「ん?」と何かが気になったのか、また私のお腹に手を当ててきた。
「……俺が感知した魔力よりも弱くなってる。大丈夫か?」
ギルが心配そうに、私のお腹に向かって話しかける。まだ口が無いから答えようがないのでは……って、そういえば念話というものがありました。
でもやっぱりさすがに一ヶ月やそこらでは、対話は無理ではなかろうか。ミアさんは半年で生まれたと話していたけれど、それでも妊娠初期に違いはないだろうし。
「竜殺しの剣の石碑の辺りには、魔力を増幅させる効果があるとカシムが言っていました。なので今の状態が、普通なのだと思います」
カシムの名前を出したことで、私は「あっ」と思い出した。
(そうか。カシムが感謝しろと言った「そいつ」とは、この子のことだったんだ)
「カシムが? あいつの魔王の感知は、腹の子まで可能だったんだな。それでサラをそこへ行かせたか」
ギルの言葉に、私もそういうことかと謎が解けた。
カシムは、ギルが私の呼び掛けに応えると、まるで疑っていなかった。
それもそのはず。彼が魔力を増幅させようとしたのは私ではなく、私のお腹にいる魔族だったのだ。それもギルに極近しい魔力の持ち主、その呼び声がギルに届かないはずがない。
中庭もそうだったけれど、ギルの部屋の内装も向こうの魔王城のそれだった。
隣の部屋に通じる内扉もあって、
「サラ、開けていいか?」
ギルに尋ねられるところまで、同じ。
「はい」
私は嬉しい気持ちで、そう返した。
ギィ……
初めて開かれる内扉に、その先がどんな部屋かを知っていても胸が高鳴る。
扉を通って踏み入れた部屋の景色は、やっぱり知ったもので。――いや、何だか様子がおかしい。
「わわ……ギル、これって?」
部屋の中、優雅に羽ばたく多数の小鳥。……と、思ったら違う、あれは折り鶴だ。
空飛ぶ折り鶴は、私が前にギルにあげたものによく似ていた。例の私のそっくりさんを出していた魔法で、ギルがこの折り鶴たちを出したのかもしれない。
「サラが、折り鶴が健康祈願だと話していたから」
「あ……」
私の健康祈願だったのか。ギルの答に、思わず目を瞠る。
パタパタ
折り鶴たちが、天井の一所に集まり出す。見ればそこには、鳥の巣のようなものが。
巣は、それなりの大きさがあった。これは中で千羽鶴が出来上がっていそう。
私が無事に帰ってこられたのは、この折り鶴のお陰もあったかもしれない。
「ありがとう、ギル」
ギルが「どういたしまして」と、私をベッドに下ろす。
ギルも一緒に横になる。ちゃんと宣言通り、寝てくれるようだ。
そのまますぐに「おやすみ」かと思いきや、ギルは「ん?」と何かが気になったのか、また私のお腹に手を当ててきた。
「……俺が感知した魔力よりも弱くなってる。大丈夫か?」
ギルが心配そうに、私のお腹に向かって話しかける。まだ口が無いから答えようがないのでは……って、そういえば念話というものがありました。
でもやっぱりさすがに一ヶ月やそこらでは、対話は無理ではなかろうか。ミアさんは半年で生まれたと話していたけれど、それでも妊娠初期に違いはないだろうし。
「竜殺しの剣の石碑の辺りには、魔力を増幅させる効果があるとカシムが言っていました。なので今の状態が、普通なのだと思います」
カシムの名前を出したことで、私は「あっ」と思い出した。
(そうか。カシムが感謝しろと言った「そいつ」とは、この子のことだったんだ)
「カシムが? あいつの魔王の感知は、腹の子まで可能だったんだな。それでサラをそこへ行かせたか」
ギルの言葉に、私もそういうことかと謎が解けた。
カシムは、ギルが私の呼び掛けに応えると、まるで疑っていなかった。
それもそのはず。彼が魔力を増幅させようとしたのは私ではなく、私のお腹にいる魔族だったのだ。それもギルに極近しい魔力の持ち主、その呼び声がギルに届かないはずがない。