トリップしたら魔王の花嫁⁉ ~勇者の生贄にされそうだったので敵の敵は味方と思い魔王に助けを求めたら本当に来ました~
『勇者』の目的
人間の王都『カニステル』は、如何にも王都だった。
高い城壁に囲まれ、武装した兵士が通りの至る所に立っている。
建物は赤レンガの屋根で石造り。水路を行き交う船のために、跳ね橋が上がる。
パタパタ
城壁から下がった、赤い布地に金の刺繍が入ったタペストリーが靡く。
王都。王都だ。
「ここから一番近い目的地は雑貨屋です。まずはそちらに向かいます」
始めに馬車を降りたシナレフィーさん(乗車前に人間形態に戻った)が、この後の予定について口にする。言いながら、ミアさんへ手を差し出すのも忘れない。
シナレフィーさんに続いてミアさんが降り、その次に私、最後にリリが降りる。当然の如く、手を差し出されたのはミアさんだけです。はい。
「んっ」
私は一度、ぐっと伸びをした。
馬車に揺られたのは、一時間ほどだろうか。
馬車は竜の飛行に比べて、揺れるし遅い。でもそちらの方が落ち着いた。所詮、私は地を這って生きる生物なのだ……。
「レフィー、空を飛んでいるあれは何かしら?」
「王家が飼っている、鷹ですね」
今回の夫妻は、恋人繋ぎで行く模様。見たいと思っていたので、叶って嬉しい。何をしていても絵になる夫妻である。
「足に手紙が付いていますね。ろくでもない内容でなければいいですが」
竜の視力どんだけ。私には、空に何か白い物体が飛んでいるなという感じでしかない。ミアさんもそうだからこその、今の質問だろう。
「サラ様、すごいですね。すごいですねっ」
私の隣を歩くリリが、興奮した様子で辺りをキョロキョロと見回す。
そう、興奮した様子でプルプルと……あ、やばいのでは。例のバラバラ事件になるのでは。
「リリ」
ギュッ
私はリリの手を握った。
「リリは、私と手を繋ごうね」
「! はいっ」
リリが嬉しそうに返事をする。
いざという時には、すぐに抱き締めて固定しよう。降って湧いたミッションの緊張感は隠し、私は彼女に笑顔を返した。
高い城壁に囲まれ、武装した兵士が通りの至る所に立っている。
建物は赤レンガの屋根で石造り。水路を行き交う船のために、跳ね橋が上がる。
パタパタ
城壁から下がった、赤い布地に金の刺繍が入ったタペストリーが靡く。
王都。王都だ。
「ここから一番近い目的地は雑貨屋です。まずはそちらに向かいます」
始めに馬車を降りたシナレフィーさん(乗車前に人間形態に戻った)が、この後の予定について口にする。言いながら、ミアさんへ手を差し出すのも忘れない。
シナレフィーさんに続いてミアさんが降り、その次に私、最後にリリが降りる。当然の如く、手を差し出されたのはミアさんだけです。はい。
「んっ」
私は一度、ぐっと伸びをした。
馬車に揺られたのは、一時間ほどだろうか。
馬車は竜の飛行に比べて、揺れるし遅い。でもそちらの方が落ち着いた。所詮、私は地を這って生きる生物なのだ……。
「レフィー、空を飛んでいるあれは何かしら?」
「王家が飼っている、鷹ですね」
今回の夫妻は、恋人繋ぎで行く模様。見たいと思っていたので、叶って嬉しい。何をしていても絵になる夫妻である。
「足に手紙が付いていますね。ろくでもない内容でなければいいですが」
竜の視力どんだけ。私には、空に何か白い物体が飛んでいるなという感じでしかない。ミアさんもそうだからこその、今の質問だろう。
「サラ様、すごいですね。すごいですねっ」
私の隣を歩くリリが、興奮した様子で辺りをキョロキョロと見回す。
そう、興奮した様子でプルプルと……あ、やばいのでは。例のバラバラ事件になるのでは。
「リリ」
ギュッ
私はリリの手を握った。
「リリは、私と手を繋ごうね」
「! はいっ」
リリが嬉しそうに返事をする。
いざという時には、すぐに抱き締めて固定しよう。降って湧いたミッションの緊張感は隠し、私は彼女に笑顔を返した。