トリップしたら魔王の花嫁⁉ ~勇者の生贄にされそうだったので敵の敵は味方と思い魔王に助けを求めたら本当に来ました~
シナレフィーさんが向かった先は、前庭だった。
見慣れた風景に、何やら見慣れない物が。前庭には、蜜柑箱より二回りほど大きい謎の木箱が置かれていた。
シナレフィーさんが謎の木箱に向かって、迷いなくスタスタと歩いて行く。そして彼は木箱の前に着くなり、ぶら下げていた闇の精霊をその中へポイッと投げ入れた。
――投げ入れた⁉
予想外の行動に驚いたのは私だけではなかったらしい、ギルがダッシュで木箱に駆け寄る。お陰でギルにおぶわれたままの私も、気になる箱の中を覗くことができた。
「……何だこれ」
ここでもまたギルが私と同調し、私の思いを代弁してくれる。
いや、きっとギルと違って私は、ここに在るのが何か自体はわかったのだけれど。
「うにゃ~」
箱の中には、ままごとのようなミニサイズの炬燵が。でもって、炬燵布団から闇の精霊の尻尾の先だけが見えていた。
これはまた、ジャストフィットと言いますか……。
「それでは陛下、これを元いた場所に設置してきて下さい」
僅かにフリフリ動く尻尾に釘付けになっていた私たちに、シナレフィーさんが興味なさげな声で言う。「拾ったところに戻して来なさい」と言う側は、何処の世界でも非情だ。
「あ、あー、そうだな。行ってくる」
こと闇の精霊に関しては、拾ったところに戻すのが正論なわけで。ギルはシナレフィーさんに返事をした後、私を地面に降ろした。
木箱を抱えたギルが、「じゃあ、ちょっと行ってくる」と前庭のいつもの位置から飛び立つ。
森の遺跡に炬燵……私の部屋以上にシュールな光景になりそうである。そして今日も魔王城の能力は冴えている。一件落着。
見慣れた風景に、何やら見慣れない物が。前庭には、蜜柑箱より二回りほど大きい謎の木箱が置かれていた。
シナレフィーさんが謎の木箱に向かって、迷いなくスタスタと歩いて行く。そして彼は木箱の前に着くなり、ぶら下げていた闇の精霊をその中へポイッと投げ入れた。
――投げ入れた⁉
予想外の行動に驚いたのは私だけではなかったらしい、ギルがダッシュで木箱に駆け寄る。お陰でギルにおぶわれたままの私も、気になる箱の中を覗くことができた。
「……何だこれ」
ここでもまたギルが私と同調し、私の思いを代弁してくれる。
いや、きっとギルと違って私は、ここに在るのが何か自体はわかったのだけれど。
「うにゃ~」
箱の中には、ままごとのようなミニサイズの炬燵が。でもって、炬燵布団から闇の精霊の尻尾の先だけが見えていた。
これはまた、ジャストフィットと言いますか……。
「それでは陛下、これを元いた場所に設置してきて下さい」
僅かにフリフリ動く尻尾に釘付けになっていた私たちに、シナレフィーさんが興味なさげな声で言う。「拾ったところに戻して来なさい」と言う側は、何処の世界でも非情だ。
「あ、あー、そうだな。行ってくる」
こと闇の精霊に関しては、拾ったところに戻すのが正論なわけで。ギルはシナレフィーさんに返事をした後、私を地面に降ろした。
木箱を抱えたギルが、「じゃあ、ちょっと行ってくる」と前庭のいつもの位置から飛び立つ。
森の遺跡に炬燵……私の部屋以上にシュールな光景になりそうである。そして今日も魔王城の能力は冴えている。一件落着。