社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました
その言葉は嘘ですか？
それからしばらく経ったある日のこと。

緊張感が走る社長室に二人。

「……どうだ？」

「悔しいくらい美味しいです……」

料理を全然したことのないと言った社長のお弁当のクオリティは高かった。

「花重のお弁当も美味しいよ」

「ありがとうございます……ていうか、そんなに上手に作れるなら、初樹さんも自分でお弁当を作ってきたら良いじゃないですか！」

「その時間を今まで仕事に充《あ》ててたからな。まぁ、これからは君と一緒に食べるんだから作ってこようか」

「……たまには休んで下さいね」

そう小さく呟いた私を初樹さんはじっと見つめている。

「なんですか……？」

「花重は優しすぎるな」

「こんなに遠慮なく話しているのにそんなことを言うのは初樹さんくらいです」

「だから、嬉しいんだ。あの出会いで本当に良かった。君が素直にお話してくれるのが一番嬉しい」

初樹さんがそっと私に手を伸ばし、優しく私の頬に触れる。
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