社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました
「初樹さん、何故私に婚約を申し込んだんですか……?」

もう初樹さんは嘘をつくことを辞めたようだった。



「花重を愛しているから」



そう言って、微笑む初樹さんは嬉しそうだった。



「じゃあ、なんであんな嘘を……!」



「花重を逃したくなかったから。本心を言って、拒否されるのが怖かった」

「前に言っただろう?両親は忙しい人だったと。一度だけ、子供の頃に本心を言ったことがあるんだ」

「『もっと一緒にいて欲しい』と。そうしたら『我儘を言うのは辞めなさい』と怒られたよ」



そう話す初樹さんは昔の自分を懐かしんでいるようだった。
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