社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました
しかし、父はそんなことは全く気にせず、「いや、婚約してくれたならそれでいいんだ。悪かった」と謝った。

父は昔から「父が一番望んでいる願いを叶えれば、それ以上は追求しない人」だった。

兄達には後継のための経営についての勉強と跡取りとしての自覚、私には相応の家柄との結婚、それが父の望みだった。

兄達は大学を卒業したタイミングで倉本財閥が経営する会社に就職し、次期経営者として様々なことを学んでいる。

父は兄達が大学に通っていた時も成績を保てるなら、多少の遊びは許す人だった。

だから、父は私が好きな会社に就職することも許してくれた。

好きな会社に入り、就職して、倉本財閥の娘としてではない人間として色んな人を話してみたかった。

どうやっても外れることのない倉本財閥の娘としてのレッテルを一度でいいから感じることのない生活を送ってみたかった。
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