社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました
そんな願いで就職した会社で、私は初樹さんに出会ったのだ。


「お父さん、お母さん。明日、初樹さんが挨拶に来るから」


「おお、そうか。私も挨拶がしたかったから嬉しいよ」


父はそう言うと、また仕事の資料に目を通し始める。

そして、視線も上げないまま私にこう言うのだ。


「花重も帰ってきてくれてありがとう。今日はもう休みなさい」


そんな言葉に何処か心が冷めていくのを感じる。

その日の夜は、あまり眠ることが出来なかった。
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