社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました

「貴方、初樹さんがいらして下さったわよ」

母がそう言って扉を開けると、やはり父は仕事の書類に目を通している。

「お父さん、休んだ方が良いって言ったでしょ……！」

「体調は大分良くなったから大丈夫だ」

父は初樹さんに目を向ける。

「初樹くん、娘と婚約してくれてありがとう。これからもよろしく頼む」

「いえ、こちらこそ素敵な娘さんと婚約出来て嬉しいです」

初樹さんと父はそのまま少しだけ挨拶を交わす。

挨拶を終えた初樹さんに父は「のんびり過ごしていってくれ」と言って、また仕事に戻ろうとした。

「お父さん、お願いだからちゃんと休んで……！」

「花重、お前は経営を知らないかもしれないが仕事を優先しないといけない時もある。理解しなさい」

そんな父の言葉に私は何故か泣きそうになるのだ。