社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました

すると、初樹さんがもう一度父に話しかける。

「花重さんは、優しい性格で真面目に仕事をしてくれています。そして、何より素直な気持ちを伝えてくれます」

「花重さんが今年休みを取ったのは今日が初めてです。社長としてはもっと休んで欲しいところですが……それでも、花重さんは余程お父さんのことが心配だったのでしょう」



「はは、私も良い娘を持ったものだな」



「ええ、本当に良い娘さんです。私には勿体無いくらい。そして、先ほども言いましたが花重さんは素直な性格です。お父さんを心配している言葉に嘘はない」

「同じ経営者として、仕事を大切にする気持ちは分かります。『休め』とは私は言いません」

「それでも、どうか花重さんの言葉を受け止めてあげて下さい」



父はしばらく初樹さんの顔をじっと見つめていた。

そして、何故か私の方を向く。