社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました
君の隣が俺の居場所だと言わせてくれ
客間に戻った私と初樹さんは、いつもの昼休みの時のようにテーブルを挟んで向かいあって座る。

「あの……初樹さん。ありがとうございました。父と向き合わせてくれて……」

「いや、俺の方こそ余計なことを言って悪かった」

「大丈夫です。嬉しかったので」

そう言った私は無意識に少しだけ笑顔に戻っていた。



「花重はやっぱり笑顔が似合う」

「それでも、どんな花重の表情も大好きなんだ」

「笑顔でも悲しい顔でも花重が見せてくれる表情ならなんでも嬉しい」



「悲しい顔は好きじゃなくてもいいです……!」



私がいつものようにそう言い返すと、初樹さんは優しく微笑んだ。


「悲しい顔だったら、俺が笑顔に変えるよう努力するからいいんだ」


当たり前のようにそう言う初樹さんに胸が高鳴らないなんて無理だった。

だからこそ何故初樹さんが社員達に恐れられているのかが気になった。


「初樹さん、何故社長室は『地獄の宣告室』と呼ばれているんですか……?私にはもう社長が無下に社員達をクビにするとは思えません」


初樹さんが少しだけ視線を下げたのが分かった。
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