社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました
俺の婚約者になって欲しい
「噂」というものを完全に信じるタイプではないし、その中には嘘も混じっているだろう。

それでも、その相手と関わる時に噂が頭をよぎらないなど無理な話で。

クビを宣告されるかもしれないと恐れていた私に、社長はこう言った。



「倉本 花重、俺の婚約者になって欲しい」



突然の意味の分からない言葉に私は固まっていた。

「え……あの……」

「出来ないのか?」

「いや、出来る出来ないの話ではなくて……もっと説明が欲しいです」

「……」

「社長?」

社長が椅子から立ち上がり、私の前まで歩いてくる。

初めて目の前で見た社長は、私が思っていたより身長が高くて少しだけ驚いてしまう。




「なんて言ったら、俺の婚約者になってくれるんだ?」




「っ!?」




「えっと……冗談ですよね……?」

私の問いに社長は何も答えず、しばらくじっと私と目を合わせていた。
< 4 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop