社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました
「君を目で追っても声をかけることは出来なかった。それでも偶然また花重とすれ違って挨拶を交わしたら、花重から話しかけてきてくれたんだ」

「『無理だけはしないで下さい』って、たったその一言。花重が覚えていないのも仕方ない。もしかしたら、俺を心配してくれていた人は他にもいたのかもしれない」

「それでも、俺に臆《おく》せず話しかけてくれたのは花重だけだった。それは花重が倉本家の令嬢だったからじゃない。優しくて、素直に気持ちを伝えられるからだ。俺はそんな花重が眩しくて、愛おしかった」



初樹さんは私に触れずにただ目を合わせているだけなのに、何故か胸が締め付けられて泣きそうになる。




「花重、愛している。俺の隣は君しかいない」




頬に一粒、涙が伝ったのが分かった。
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