社長室に呼び出されたら、溺愛生活が待っていました
「本当に『地獄の宣告室』ですね」

嫌味でそう言った私に社長は何故か笑った。

「クビを宣告されないだけマシだろう?」

ああ、この男に本当に腹が立つ。

「……婚約するなら、一つだけお願いがあります」

「なんだ?」

「実家には愛のある結婚だと伝えてください。心配をかけたくないので」

「分かった。俺からも一つ、君に頼みがある」

「……何ですか?」



「昼休みはここで昼食を取ってほしい」



「っ!なんでですか!」

「婚約者のことを何も知らないのは、流石にこれから先問題が起きてもおかしくない。だから、昼食の間に情報交換しよう」

どこまでも業務的な提案だったが、関わるのがその時間だけなら良いと思った。

「分かりました」

私の了承を聞いて、社長は少しだけ笑った。
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