夜にしか会えない魔女は夜がキライ
それを聞いた瞬間ピンと来たから、その黒猫ってー…



「いないな、今日は」

「そっか~~~ずっとここにいるわけないよね~~~」

夜の8時、いつものように穂月とここへ来た丘の上。街灯が少ないから暗くて見にくいけど、どこかにいるんじゃないかって思いながら昨日見かけた黒猫を。

「というかあの猫がトキ…くんの探してる黒猫とは限らないと思うけど」

「でも可能性だから!うちの近所じゃ黒猫とか見たことなかったし、昨日見て今日探してる子がいるんだもん可能性高いでしょ!?」

「そうか?黒猫なんてよく見るけど」

「……。」

ここもさすが魔女!って突っ込むとこなのかな?

眉間にしわ寄せて解せない顔してる。

それとも魔女ジョーク?どっちなの??

「…あれが、本当に探してる黒猫だとしても1日経ってるんだそう簡単には見付からないだろ」

「うん…」

丘の上って言っても階段で20段くらいのちょっと小高い丘だから、昼間はあたしたちだけじゃない他の人も来るだろうし、一応公園だし。
昨日だって偶然見かけただけだもん、今はどこにいるのかわからない、か…

「勝手に引き受けてくるなよな」

「ごめん…、どうしても心配で」

トキくんもそうだったように、あの黒猫もそうなのかなって思ったら見つけ出してあげたくなった。1人でいるのは不安だよね。

「物陰に隠れてるのかな、うーん…こっちにもいないな。緋呂そっちはどう?」

「ううん、こっちもいない!」

「そっか、じゃあもうちょっと向こう探してみようか」

…なんだかんだ言いながら探してくれる、結局穂月は優しいから。

「この辺にいてくれると助かるんだけど、早く見付けてやらないと可哀想だし」

同じように心配もしてくれる。

魔女は困ってる人たちを助けてたって言ってたけど、穂月も困ってる人を絶対放っておかない。

そーゆうところも魔女の血が流れてるんじゃないかな。


穂月のそーゆうところ、あたしは好きだよ。


「全然いないねっ」

「もうここにはいないのかもな」

「やっぱどっか行っちゃったのかな~、どこ行っちゃったんだろ~!?」

1時間ずっと探してもいなかった。丘を囲ってる森の中にもいないかなってそっちも覗いてみたけどそれらしきものはいなくて。

「いないだろうな、気配もないし」

「気配とかわかるんださすが魔女!!」

「魔女じゃない!」
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