夜にしか会えない魔女は夜がキライ
うちの学校は、本当は生徒全員部活動は必須で誰もがみんなどこかしらの部に所属してる…


穂月以外。


穂月だけは特別で、やらなくてもいいって先生から言われたから学校が終わるとすぐ帰るんだ。

…まぁ運動部は絶対無理だし、文化部は吹奏楽部くらいだしなぁ。できるものがないのかもしれないけど、見かけによらず体力勝負だし吹奏楽部は。

「……。」

でもそれって…


寂しくないのかな?

穂月はやりたいって思ったこと、ないのかな?


どうなんだろう、ただ保健室から見てる風景はどうなんだろう…


「…ぃろー!緋呂ぉーーーーー!!」

…ん?誰か呼んでる?
めっちゃ叫ぶ声が聞こえるんだけど…

「こんちゃん!?」

ブンブンと手を振って必死にあたしにアピールしてる、グラウンドの真ん中からだと遠くてよくわかんないけどとにかくあたしに何かを伝えたそうだった。

なんだろ、何かあったのかな… 

ちょっとだけ部活を抜けてこんちゃんのところまで走った。

「こんちゃんどーしたの!?そんなあわててっ、てゆーか部活は!?」

「さっきね、職員室まで楽譜取りに行ってたんだけど!」

数十枚用紙を抱え、力が入ってるみたいで降り曲がってるのも数枚あった。

そんなにあくせくして一体何があったんだろ。

「いたの、黒猫!」

「え、黒猫!?」

黒猫が学校に!?
こんなとこまで来てたんだ…!

「どこに、どこにいたの!?」

「それが…っ、男子たちに連れられて行っちゃって!」

連れて、行かれちゃって??
いや、その言い方はあまりよくないような…

「緋呂が言ってる黒猫かはわからないけど、なんか持ち方があれだったし…っ」

なるほど、そーゆうことね。

だからこんちゃんが必死に伝えてくれたんだね。

「可愛がってるようには見えなかったから!」

嫌な予感がしてすぐに教えに来てくれたんだ。

せっかく取りに行った楽譜に折れ曲がった跡が付くぐらい力がこもっちゃって。

「男子たちどこ行った!?まだ学校にいる!?」

「保健室の横を通って外に出て曲がって行ったから…たぶん校舎裏の方?かな」

校舎裏…、学校の裏側は完全山で用がなければっていうか裏側に行く用なんてない。

わぁー…想像したら結構あれなんだけど。

「…わかった、ありがとうこんちゃん」

「え!?」

「あたしちょっと行って来る!」

「緋呂!危ないよ1人で行ったら…っ」
< 14 / 79 >

この作品をシェア

pagetop