夜にしか会えない魔女は夜がキライ
「あ、そうだあたし選手に選ばれたよ!」
ベンチに座りながらペットボトルの蓋を開ける、シュ~ッとテンション上がる音がした。
「おめでと、よかったな」
ブラックの缶コーヒーをひとくち飲んだ穂月が口角を上げる。
「穂月の魔法のおかげかな」
「緋呂の実力だろ」
中学最後の夏の大会、部内で行われた出場者テストを見事1位でクリアして今年も無事出られることになった。
最後って聞くと俄然燃えて来る、絶対負けたくない。だけど…
「怖いよね、上手く走れるかな…っ」
飲もうと思って蓋を開けたのに、大会のことを考えたら口に含むこともできなくてただ膝の上に置いただけになった。
はぁ~と肩を落として俯いて、体が重くなる。
「ここまではいつも絶好調なのにな」
「ここからもいつも絶好調だよ!」
…最後はね、いつもなんだかんだ上手くはいってるの。
でもみんなの前で走るのは怖い。
失敗しちゃったらって思うと怖い。
「緋呂はプレッシャーに弱いよな、意外と」
「意外ってなによ」
「にゃ~」
「カラスまで!!」
はぁっと息を吐いた。
まだ飲めないままだったレモンスカッシュをごくんっと飲んだ。シューッと喉を通って、喉を潤してくれる。
「…これが中学最後の大会だもんね」
3年間陸上をがんばって来た証、悔いの残らない大会にはしたい。そのためにはもっともっとがんばらなくちゃ。
でも1つだけ、あたしには夢があって。
「いつか穂月にもあたしが走ってるところ見てほしいな」
応援に来てくれたらいいのに、って。
何度も思ってた。
走るたびに、穂月も見ててくれたらいいのにって。
「なんて無理だよね!ごめん忘れて!」
そのたびに穂月が寂しそうな顔をするのもわかっているのに。
「そろそろ帰ろっか!門限過ぎたらまた月華ママに怒られちゃう!」
ペットボトルの蓋を締めてすくっと立ち上がった。
もうすぐ9時になる、穂月もといられる時間まであとちょっと。
本当はもう少し一緒にいたけど。
ベンチに座りながらペットボトルの蓋を開ける、シュ~ッとテンション上がる音がした。
「おめでと、よかったな」
ブラックの缶コーヒーをひとくち飲んだ穂月が口角を上げる。
「穂月の魔法のおかげかな」
「緋呂の実力だろ」
中学最後の夏の大会、部内で行われた出場者テストを見事1位でクリアして今年も無事出られることになった。
最後って聞くと俄然燃えて来る、絶対負けたくない。だけど…
「怖いよね、上手く走れるかな…っ」
飲もうと思って蓋を開けたのに、大会のことを考えたら口に含むこともできなくてただ膝の上に置いただけになった。
はぁ~と肩を落として俯いて、体が重くなる。
「ここまではいつも絶好調なのにな」
「ここからもいつも絶好調だよ!」
…最後はね、いつもなんだかんだ上手くはいってるの。
でもみんなの前で走るのは怖い。
失敗しちゃったらって思うと怖い。
「緋呂はプレッシャーに弱いよな、意外と」
「意外ってなによ」
「にゃ~」
「カラスまで!!」
はぁっと息を吐いた。
まだ飲めないままだったレモンスカッシュをごくんっと飲んだ。シューッと喉を通って、喉を潤してくれる。
「…これが中学最後の大会だもんね」
3年間陸上をがんばって来た証、悔いの残らない大会にはしたい。そのためにはもっともっとがんばらなくちゃ。
でも1つだけ、あたしには夢があって。
「いつか穂月にもあたしが走ってるところ見てほしいな」
応援に来てくれたらいいのに、って。
何度も思ってた。
走るたびに、穂月も見ててくれたらいいのにって。
「なんて無理だよね!ごめん忘れて!」
そのたびに穂月が寂しそうな顔をするのもわかっているのに。
「そろそろ帰ろっか!門限過ぎたらまた月華ママに怒られちゃう!」
ペットボトルの蓋を締めてすくっと立ち上がった。
もうすぐ9時になる、穂月もといられる時間まであとちょっと。
本当はもう少し一緒にいたけど。