夜にしか会えない魔女は夜がキライ
出場種目が決まれば練習が始まって、体育の時間はもちろん自習も体育祭の練習に回されるしまるっと1日授業がなくなって入場やら退場やらの予行演習だってある。ケガしないようにグラウンドの整備だってしなきゃいけないし、応援用の横断幕の準備もしなきゃだし、徐々に体育祭ムードは高まっていって…

「今日バトン渡しの練習したんだ」

「バトン?あぁリレーの」

「穂月バトンって知ってる?円柱状の筒みたいな」

「それぐらい知ってるわ!」

触ったことないから知らないかもって説明してあげようと思ったのに、説明の途中で電話の向こう側から若干怒り口調で返って来た。

窓の外はザーザーと雨が降っている。リレーの練習してる時は晴れてたのに、だから今日は散歩に行けなかった。

「明日雨なんだって」

「あー、らしいな」

「だから明日は練習ないんだけど、天気予報的には体育祭の日は晴れだよ」

「うん」

雨の日は電話をかけて、いや晴れの日も遅くまで電話してることあるけど会えない分電話で過ごすの。あたしが勝手にかけてるだけだけど。

「なんでうちの学校ってこの時期に体育祭やるんだと思う?梅雨って雨の確立高いじゃん」

勉強机のイスにちょこんと体操座りをして置いてあった卓上のカレンダーに手を伸ばした。
日にちを確認しながら、あと何日で体育祭なのかなって数えて。

「夏は暑過ぎるからじゃない?5月はテストあるし」

「そっか、それはあるかも!」

体育祭雨天延期って言うぐらいだから最初から雨の少ない時にすればいいのにって思ってたけど、そーゆうことかそれならわからなくもない!さすが穂月だ!!
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