夜にしか会えない魔女は夜がキライ
「穂月…っ!」
階段の上から身を乗り出して呼んだ。もう半分下りちゃって、踊り場のところにいたから。
「緋呂…」
少しでも早く追い付きたくて二段ずつ階段を飛ばして下りた。はぁはぁ肩を揺らしながら穂月の前に立って顔を上げる。
「悪いやっぱ体育祭はやめとくよ」
「穂月…っ、そんなこと言わないでよ!」
息を整える間もなく叫んだ。
「あんな大村の言うことなんて気にしなくていいよ!どーせテキトーだし、こないだのことが気に入らなくて嘘言ってるだけだもん!」
魔女がそんな人なわけがない、満月おばぁちゃんだって月華ママだって…穂月だってみんな優しいもん。
あたしの知ってる人たちはそんなんじゃない。
だってヨーロッパの魔女たちは病気や怪我を治したり、失くしたものを見付けたりして人々を助けて来たってー…!
「昔からそうなんだよ」
踊り場の窓は大きくて一面外が見える。窓に打ち付けるような雨の音はバチバチと響いて。
どこのクラスも授業中だから、やたらとうるさく感じてしょうがなかった。
「緋呂は知らなかったかもしれないけど」
「え…、なにが?」
静かに深呼吸をした穂月が窓の方を見て、ゆっくり口を開いた。
「…昔、ヨーロッパの方では魔女が存在していて」
「うん、それは知ってる。みんなを助けてたんでしょ?病気とかケガとか!」
「……。」
穂月が目を伏せた、瞬きをして息を吐いて。
「魔女は魔法が使えると信じられて来た」
「うん…、そうなんじゃないの?だからそれでみんなを助けて来たって」
「そうやって緋呂みたいに素直な発想が出来る人ばかりじゃないよ」
くすっと笑った気がした。たぶんそれは呆れたんだと思う。
「それと同時、魔法で誰かを傷付けることが出来るとも信じられて来たんだ」
「え…?」
誰かを傷付ける?
魔法でそんなこと、できたの?
そんな魔法…
使えたの?
じゃあ大村が言っていたあれは…
“この雨は十六夜のせいだ、十六夜が降らしたんだ!”
階段の上から身を乗り出して呼んだ。もう半分下りちゃって、踊り場のところにいたから。
「緋呂…」
少しでも早く追い付きたくて二段ずつ階段を飛ばして下りた。はぁはぁ肩を揺らしながら穂月の前に立って顔を上げる。
「悪いやっぱ体育祭はやめとくよ」
「穂月…っ、そんなこと言わないでよ!」
息を整える間もなく叫んだ。
「あんな大村の言うことなんて気にしなくていいよ!どーせテキトーだし、こないだのことが気に入らなくて嘘言ってるだけだもん!」
魔女がそんな人なわけがない、満月おばぁちゃんだって月華ママだって…穂月だってみんな優しいもん。
あたしの知ってる人たちはそんなんじゃない。
だってヨーロッパの魔女たちは病気や怪我を治したり、失くしたものを見付けたりして人々を助けて来たってー…!
「昔からそうなんだよ」
踊り場の窓は大きくて一面外が見える。窓に打ち付けるような雨の音はバチバチと響いて。
どこのクラスも授業中だから、やたらとうるさく感じてしょうがなかった。
「緋呂は知らなかったかもしれないけど」
「え…、なにが?」
静かに深呼吸をした穂月が窓の方を見て、ゆっくり口を開いた。
「…昔、ヨーロッパの方では魔女が存在していて」
「うん、それは知ってる。みんなを助けてたんでしょ?病気とかケガとか!」
「……。」
穂月が目を伏せた、瞬きをして息を吐いて。
「魔女は魔法が使えると信じられて来た」
「うん…、そうなんじゃないの?だからそれでみんなを助けて来たって」
「そうやって緋呂みたいに素直な発想が出来る人ばかりじゃないよ」
くすっと笑った気がした。たぶんそれは呆れたんだと思う。
「それと同時、魔法で誰かを傷付けることが出来るとも信じられて来たんだ」
「え…?」
誰かを傷付ける?
魔法でそんなこと、できたの?
そんな魔法…
使えたの?
じゃあ大村が言っていたあれは…
“この雨は十六夜のせいだ、十六夜が降らしたんだ!”