夜にしか会えない魔女は夜がキライ

night3.)

今日は1日中雨だった。きっと夜もずっと雨だ。

体育祭の練習もできないし、部活もないし…


散歩も行けない。


「こんちゃんばいばい」

「ばいばい、…十六夜くんは?一緒に帰らないの?雨だよ」

「うん、今日は体調があんまりよくないみたいでお母さんが迎えに来るって言うから」

帰りは1人だった。

雨の中1人なのは晴れた日の1人よりもの寂しい気がするのはなんでだろう。どっちも1人には変わりないのにね。

こんちゃんに手を振って教室を出た。

階段を降りて1階まで、そしたら下駄箱でスニーカーに変える…んだけど今日はさらに階段を上った。

上の階にある図書室へ行きたくて。


あの時聞いた言葉で穂月に聞けなかったことがある。

でも1番ずしんと心にのしかかって来た言葉だったから。

“だから魔女は嫌われて処刑されたんだろ!”


処刑なんて怖い言葉、心に残らないわけがないよ。


放課後の図書室はあまり人がいなくて静かな図書室がそれ以上に静かだった。

えっと…

魔女のコーナーなんてあるっけ?どうやって探したらいいんだ?

とりあえずそれっぽい本棚の前をうろちょろして、魔女の文字が書いてある本をいくつか手にした。

「……。」

でもどれもファンタジーな感じでそんなこと書かれてないんだよね。

困ってる人を助けてる魔女はもちろん、修行をがんばる魔女もいればそりゃいじわるな魔女だっていないわけじゃないけど…

でも全部空想上の話だしなぁ、穂月が言ってた魔女とも違うし穂月たちのことでもないもん。

たぶんこれはヨーロッパの魔女たちのことを語り継いでいく間に変わっていったもの…

「あ、ヨーロッパ!」

やば、声出ちゃった。

あわてて口を押えて持っていたファンタジーチックな魔女の本を元の場所に戻した。

そうだ、ヨーロッパだ!

海外のことについて書かれた本のとこならあるかもしれない!

そーゆうコーナーならあるもんね!
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