夜にしか会えない魔女は夜がキライ
ささっと移動して角っこの世界の本コーナーにやって来た。

ここの本ってあんまり借りられてるイメージないんだよね、世界の本って難しい気がするし読みにくいっていうか。

上から順番に背表紙を読んでいく、歴史系が多いなぁ世界のお寺の本とかあるんだへぇー…
どんどん下に向かって視線を落とし、しゃがみ込んで1番下の本棚まで来た。

順番に右から確認して…


「!」


これなのかな?って思える本が1冊あった。

でも手にするにはちょっとだけ怖かった。

おそるおそるその本を取り出す…


『魔女狩り』って書かれた本を。


すごいタイトル…
狩りって普段口に出したこともないし、不穏なタイトルすぎる…。

真っ黒な背景に魔女のシルエットが白抜きで描かれた表紙は無性に心拍数が上げる。


すぅっと息を吸って、1ページめくった。


また1ページ、また1ページ、ドキドキしながら文字を追って。

図書室にはたくさん机とイスがあるのにそんなことも忘れてその場でひたすらにページをめくった。


目が離せなかった。

次から次へと入って来るまがまがしたものはあたしを震えさせる。



―魔女は悪魔と契約して生まれた存在。 



悪魔と契約…!?
何それ、初めて聞いたんだけど! 



―魔法を使って魔女は人々を助けていた。

しかし、悪いことが起きるとそれもまた魔女の仕業とされていた。

災害や揉め事が起きると魔女が魔法を使って世界を破壊しようとしていると思い込んだ。

全ては魔女の仕業だと信じた人々は魔女を裁判にかける。

不当な疑惑をかけられた魔女たちは拷問の末、全員処刑された。



「…っ」

拷問の内容や処刑方法まで詳しく書いてある…

最後まで読むのはかなり重くて、残酷だった。


これが魔女の行く末…?


読めば読むほど悲しくてやりきれない気持ちになった。


魔女たちがありもしない疑惑をかけられて殺された、だから魔女狩り…
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