夜にしか会えない魔女は夜がキライ
キーンコーンカーンコーン…


あ、下校のチャイム!もうそんな時間!?

夢中で読み込んじゃって気付けばそんな時間だった。来た時はちらほら人もいたのに今見たら誰もいなくてあたしが最後だったっぽい。

しかもリュックも背負ったまま下ろすの忘れてたし、最後までここで読んじゃった。


それくらい止まらなくて、ページをめくる手が。


あわてて本を元に戻して立ち上がり、パタパタとスカートをはたいて図書室から出た。4階の図書室から下駄箱までは教室から帰るより遠くて、思い返しては考えちゃう。

「……。」

なんか、すごく…


胸が苦しかった。


拷問も処刑もだけど、裁判だって無理やりだった。

何にも悪いことしてないのに頭ごなしに魔女が悪いって決めるつけるみたいで、なぜかあたしが悔しい気持ちになった。


あたしは魔女でも魔女の末裔でもなんでもないけど。


魔法を使って助けて来た。

病気とか怪我とか赤ちゃんが生まれるのお手伝いもしてたって書いてあった。


きっと頼って来た人はいっぱいいたと思う。

それなのに…


でもじゃあどうして魔女は困ってる人たちを助けたんだろう?


自分が殺されるぐらいなら助けなきゃよかったのにー…


てゆーか、魔女が悪いって言われてた理由もよくわかんない。みんなを助けることしかしてないのに、どうしてそんなこと…


「魔女は悪魔と契約して生まれた存在…!」


ハッと思い出した。

裁判とか拷問のインパクトが強すぎてそこ抜けてた。


でも1番最初に書いてあった。


悪魔…?
と契約って、なんだろう。


階段を下りながらあごのしたに手を当ててうーんと唸るように考える。思い出して思い出して、他に書いてあったこと…

「そうだ、刻印があるって書いてあった!」


悪魔と契約を結ぶ時に身体に刻印される印があるって!


それはそれは針を刺しても痛みを感じない場所…

あるのかな?
満月おばぁちゃんにそんな印?

いっつも全身覆う黒い服だもん、見たことないけど…

見たことないってゆーか見せたことない…??

ど、どっちだ?あるの?ないの?

「…今それ別にどっちでもいい?」

途中から自分の興味に変わってた。

満月おばぁちゃんが悪魔と契約したかどうかじゃない、今は。


今は…
魔女がみんなに嫌われてたかもしれないってこと。
< 40 / 79 >

この作品をシェア

pagetop