夜にしか会えない魔女は夜がキライ

night5.)

「緋呂すご~!100メートル1位だよ、しかも全学年で1番タイムいいって!」

「まっかせといてよね!あたし陸上部エースだよ?」

「さっすが~!」

本日めっちゃくちゃ晴天、暑いくらいによすぎる天気に気分は上々今日は何でもできそうな気がするそんな体育祭。

序盤にある100メートル走で出せた好タイムに勢いづいたって感じ、まだまだがんばれそうだもんね!

「これからこんちゃん綱引きだよねー?がんばってね!」

「うん!任せて私もやるから!」

先週まではなくなればいいのにって言っていたこんちゃんだったけど、今日は打って変わって超やる気に満ちていた。これはあたしも同じクラスメイトとして応援し甲斐がある。

「あたしもやる気~!絶対リレー優勝するもんね!!」

体育祭1番のメインイベント、クラス対抗リレーは締めくくりにある。しかも男子があって女子があるから、あたしたち3年生女子のリレーが最後の体育祭で最後の種目ってこと。

それは燃えるに決まってる。

あ、でもその後にちょっとお楽しみはあるけど。

「でも十六夜くん残念だったね」

「ん?」

「本当ならあそこが十六夜くんの席だったんでしょ」

こんちゃんが指さしたところ、パイプを組んで建てられた真っ白なテントの下で放送委員がアナウンスをしてる隣…そこから応援する予定だった。

「見られたらよかったね」

「うん…」

てゆーかあそこめっちゃ目立つね、穂月あーゆうとこ嫌いそうだよね。席用意してもらわなくてもよかったかもしんない。

「大丈夫、見ててくれるから!」

「え?」


見ててくれる、きっと。

だからあたし走るんだもん。


グラウンドから校舎の方を見る、少し上の図書室を。


そこからじゃちょっと小さくて見にくいかもしれないけど、でも心配しないでよね。

あたしは絶対1位でテープを切って見せるから。


1位でゴールに着いたのがあたしだよ、見ててね穂月!
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