夜にしか会えない魔女は夜がキライ
「おすすめはビーチパラソルだよ!」

「そんなのプールでしか見たことないわ!」

「穂月プール行ったことないじゃん!」

「室内ならある!」

今日は夜の散歩はお休みした。天気はよかったけど、それどころではなくて話し合いがヒートアップしちゃったから。

「体育祭のテントは立てるの大変じゃん、ビーチパラソルぐらいならイケそうだし目立つし」

「別に目立ちたくないから却下」

「じゃあいっそのことキャンプのテントは!?」

「泊まりに行くわけじゃねぇんだよ却下」

あたしがルーズリーフに書いては穂月が赤いマーカーで上から線を引く。

「全部却下するじゃん!」

「現実的に考えろ!」

考えてるつもりなのに…半分くらい。

黒猫のカラスは気持ちよさそうにスヤスヤと穂月のベッドで寝息立ててるし。

その下で床にぺたんと座ってボールペンを回していた。

コンコンッて2回ドアがノックされた。

穂月が返事をすると月華ママがドアを開けた。その瞬間ふわーっと甘くていい香りが鼻の中に入って来る。

この香りは…!

「緋呂ちゃん、おばあちゃんのハーブティー飲むでしょ」

「飲みます!やったぁーありがとうございます!」

満月おばぁちゃんお手製のハーブティーだ!
何のハーブか何度飲んでもよくわかんないけど、いい香りだしとにかくおいしいの。

「穂月はコーヒーでいい?ここ置いとくからね」

穂月は絶対おばあちゃんのハーブティー飲まないけど、ううん逆だ!絶対家でもコーヒーだもんね、それもブラックの!
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