夜にしか会えない魔女は夜がキライ
「何してるの?珍しいじゃない、散歩に出掛けないなんて」

「今日は作戦会議だよ!」

「作戦会議?」

「穂月が大かっ」

大会見に来るためにはどんな方法がいいかの会議!って言おうとしたのに、がしっと後ろから穂月の右手で口を覆われ言わせてもらえなかった。

「言わなくていいからっ」

「えー私だけ仲間外れじゃない、私も聞きたいなぁ♡」

「かわい子ぶるなよいい歳して!」

月華ママがぷくっと頬を膨らませて、わざと怒ってるみたいな…てゆーかかわい子ぶるなって、確かに月華ママはかわいいんだけど。

うちのママと変わらない年齢らしいんだけど月華ママのが若く見えるし、これも魔女の効果だったりするのかな…?魔女は歳を取らないとかそーゆうの。

「じゃあいいわ、私はもう行くから!緋呂ちゃん、ゆっくりして行ってね!」

「はひっ、ありあとーほらいまふっ」

にこりと笑って手を振って出て行った。

てゆーかまだ離してくれないの塞いだ手!長い!!

バタンッてドアがちゃんと閉じられるまで手を離してくれない穂月は本当細かいっていうか、細かい。じぃっとドアの方最後まで見つめてた。

「そんな言っちゃダメだった?」

やっと手が離れて話せるようになった。

「余計なことは言わない方がいいから」

「余計なこと?え、あたしの大会余計なの!?」

「そうじゃねぇよ、…余計な心配はかけたくない」

あ…そっちね。

そうだよね、月華ママからしたら心配だよね。
太陽の下を歩くことがどうゆうことか月華ママはきっとよくわかってる…

「……。」

「緋呂?だから緋呂の大会のことを言ったわけじゃっ」

「…やっぱ全身を覆うには目出し帽とかどう?よく銀行強盗のシーンで被ってるやつ」

「犯罪者か俺は」

本当は防寒の意味で使うやつ、でも今夏真っ盛り暑いかぁ目出し帽は。極力体全体は隠せるようにしたいし、でも涼しさもほしいって難しい…
< 54 / 79 >

この作品をシェア

pagetop