夜にしか会えない魔女は夜がキライ
「熱中症だなぁ、これは」
満月おばぁちゃんが穂月のおでこに濡れたタオルを置いた。冷房の効いた穂月の部屋で、ベッドに寝かされぐたっとつらそうに顔を伏せている。
「緋呂が早めに電話して来たからねぇ、ちょっと横になっていればすぐによくなると思うよ」
「太陽のせいではなさそう…かしらねぇ」
「ずっと日陰にいたんだろう?じゃあ問題ないはずだよ」
「それなら、いいけど…」
月華ママが心配そうに息を吐いた。
眉はハの字に垂れ下がって、穂月が眠るベッドの前で立ち膝をしたままじぃっと見つめていた。
どうしよう、あたし…
「すみません、うちの緋呂が…!」
「!?」
その場に立ち尽くしていたあたしの頭をグッと押して力づくで下げた、うちのママが。
「申し訳ありませんっ、穂月くんの体のこと考えもしないで…っ」
ママも一緒に頭を下げる。ママの力ってこんなに強かったんだなって感じさせられるほどあたしの頭を押す手は力が入っていた。
そんなことされなくても、あたしだってちゃんと…
「ううん、そんな大丈夫だから頭上げて。太陽の光に当たっていたわけじゃないみたいだし大丈夫よ」
月華ママはそう言ったけど、ママの手は力の入ったままだった。
「ちょっとハーブティーを作って来るよ熱中症に効くやつ、あと氷枕もあった方がいいね」
「そうね、じゃあ探しに」
「私取りに行くから、月華さんは穂月くんのところについててあげて」
満月おばぁちゃんがよっこいしょと立ち上がるとママの手があたしの頭から離れ、満月おばぁちゃんを追いかけるように部屋から出て行った。
グッと下げられた頭を、どうしたらいいかわからなくて動けないあたしに月華ママがトンッと肩を叩いた。
「緋呂ちゃん、顔を上げて」
「月華ママ…」
“…余計な心配はかけたくない”
心配かけちゃった。
「ごめんなさい、あたしっ…ごめんなさい!」
月華ママの前に正座して、謝ることしかできなくて。
「緋呂ちゃん…、いつも穂月と遊んでくれてありがとうね」
あたしは何にもわかってなかった。
満月おばぁちゃんが穂月のおでこに濡れたタオルを置いた。冷房の効いた穂月の部屋で、ベッドに寝かされぐたっとつらそうに顔を伏せている。
「緋呂が早めに電話して来たからねぇ、ちょっと横になっていればすぐによくなると思うよ」
「太陽のせいではなさそう…かしらねぇ」
「ずっと日陰にいたんだろう?じゃあ問題ないはずだよ」
「それなら、いいけど…」
月華ママが心配そうに息を吐いた。
眉はハの字に垂れ下がって、穂月が眠るベッドの前で立ち膝をしたままじぃっと見つめていた。
どうしよう、あたし…
「すみません、うちの緋呂が…!」
「!?」
その場に立ち尽くしていたあたしの頭をグッと押して力づくで下げた、うちのママが。
「申し訳ありませんっ、穂月くんの体のこと考えもしないで…っ」
ママも一緒に頭を下げる。ママの力ってこんなに強かったんだなって感じさせられるほどあたしの頭を押す手は力が入っていた。
そんなことされなくても、あたしだってちゃんと…
「ううん、そんな大丈夫だから頭上げて。太陽の光に当たっていたわけじゃないみたいだし大丈夫よ」
月華ママはそう言ったけど、ママの手は力の入ったままだった。
「ちょっとハーブティーを作って来るよ熱中症に効くやつ、あと氷枕もあった方がいいね」
「そうね、じゃあ探しに」
「私取りに行くから、月華さんは穂月くんのところについててあげて」
満月おばぁちゃんがよっこいしょと立ち上がるとママの手があたしの頭から離れ、満月おばぁちゃんを追いかけるように部屋から出て行った。
グッと下げられた頭を、どうしたらいいかわからなくて動けないあたしに月華ママがトンッと肩を叩いた。
「緋呂ちゃん、顔を上げて」
「月華ママ…」
“…余計な心配はかけたくない”
心配かけちゃった。
「ごめんなさい、あたしっ…ごめんなさい!」
月華ママの前に正座して、謝ることしかできなくて。
「緋呂ちゃん…、いつも穂月と遊んでくれてありがとうね」
あたしは何にもわかってなかった。