夜にしか会えない魔女は夜がキライ
穂月に背中を押され走り出した。
大会はまだ始まったばかりなんだ。
ちょっと遅れちゃったけど今は体が軽いから、ウォーミングアップなんて必要ない。
早く走りたくてしょーがない。
あたしのレースはまだ始まってない、まだ間に合う…!
「緋呂ちゃん」
ピタッと足を止めた。
これには止まらざるえなくて…
そっか、来てたんだ月華ママも。
全身真っ黒な服に真っ黒な日傘に、穂月と一緒だ。
「今から緋呂ちゃんの試合?」
「あ…うん、そうだよ」
“私たちにとっては外に出ることは命の危険にさらされることでもあるの、そう言われても緋呂ちゃんには理解しにくいことかもしれないけど”
あぁ言われてから月華ママとはちょっと…
会いづらかった。
今日もあたしが無理やり連れ出したみたいになっちゃってるよね、穂月のこと。
「緋呂ちゃん…」
「…月華ママっ」
あ…どうしよ、なんて言えばいいのかな。
とりあえず謝る!?
何を謝ればいいのかいまいちわかんないけど、何も言わないよりはいいよね!?
「あのっ」
「穂月がコーヒーをよく飲んでる理由って知ってる?」
「え?コーヒー…??」
突然のクイズみたいで言ってることがわからなかった。
コーヒーをよく飲んでる理由なんて…何?
「あんな苦いの好きじゃないのよ、でも絶対毎日飲むの」
それ言ってたなぁ、別にって。
好きでもないコーヒーを飲む理由かぁ…
黒いから?
いや、そんな理由あるわけないか。
コーヒーってどんな効果があるんだろ…
「コーヒーにはね、カフェインって成分が入ってて覚醒効果があるの。だからコーヒーを飲むと頭が冴えて目が覚めるのよ」
ふーん、そうなんだ飲まないから知らなかった。
「じゃあなんで眠りたくないんだと思う?」
「眠りたくない…!?」
え、全然わかんない…!
コーヒー飲んでまで眠りたくないって何!?
何がしたいの!?
そんなの穂月から聞いたことないし、そこまでして夜更かししたい理由って…
“穂月眠くない?”
“別に眠くないけど…”
“緋呂?おい、寝る気だろ!?”
「まだ中学生だからね、夜9時でも遅いくらいだけど夜にしか外に出られないから門限は9時って決めてるけど…たくさん我慢させてると思うわ」
月華ママが一瞬悲しそうに目を伏せた。
きっと月華ママにもいっぱい思うことがあるから。
ゆっくり顔を上げてあたしを見た。
「いつもありがとうね緋呂ちゃん」
にこりと微笑んだ。
「緋呂ちゃんがいてくれて嬉しいのよ、私も」
それを言いたいのはあたしの方なのにー…
「これからも、穂月のことよろしくね」
また泣いちゃうかと思った。
でも、もう泣いてる場合じゃないね。
だってしあわせなことしかないんだから。
「私も応援してるから、緋呂ちゃんがんばってね!」
「うん、がんばってくる!ありがとう月華ママ!」
今度こそ、今度こそ、…グラウンドへ向かう走るために。
今日のあたしは絶好調だよ。
きっと1番でテープを切って見せるから。
見ててね…!
大会はまだ始まったばかりなんだ。
ちょっと遅れちゃったけど今は体が軽いから、ウォーミングアップなんて必要ない。
早く走りたくてしょーがない。
あたしのレースはまだ始まってない、まだ間に合う…!
「緋呂ちゃん」
ピタッと足を止めた。
これには止まらざるえなくて…
そっか、来てたんだ月華ママも。
全身真っ黒な服に真っ黒な日傘に、穂月と一緒だ。
「今から緋呂ちゃんの試合?」
「あ…うん、そうだよ」
“私たちにとっては外に出ることは命の危険にさらされることでもあるの、そう言われても緋呂ちゃんには理解しにくいことかもしれないけど”
あぁ言われてから月華ママとはちょっと…
会いづらかった。
今日もあたしが無理やり連れ出したみたいになっちゃってるよね、穂月のこと。
「緋呂ちゃん…」
「…月華ママっ」
あ…どうしよ、なんて言えばいいのかな。
とりあえず謝る!?
何を謝ればいいのかいまいちわかんないけど、何も言わないよりはいいよね!?
「あのっ」
「穂月がコーヒーをよく飲んでる理由って知ってる?」
「え?コーヒー…??」
突然のクイズみたいで言ってることがわからなかった。
コーヒーをよく飲んでる理由なんて…何?
「あんな苦いの好きじゃないのよ、でも絶対毎日飲むの」
それ言ってたなぁ、別にって。
好きでもないコーヒーを飲む理由かぁ…
黒いから?
いや、そんな理由あるわけないか。
コーヒーってどんな効果があるんだろ…
「コーヒーにはね、カフェインって成分が入ってて覚醒効果があるの。だからコーヒーを飲むと頭が冴えて目が覚めるのよ」
ふーん、そうなんだ飲まないから知らなかった。
「じゃあなんで眠りたくないんだと思う?」
「眠りたくない…!?」
え、全然わかんない…!
コーヒー飲んでまで眠りたくないって何!?
何がしたいの!?
そんなの穂月から聞いたことないし、そこまでして夜更かししたい理由って…
“穂月眠くない?”
“別に眠くないけど…”
“緋呂?おい、寝る気だろ!?”
「まだ中学生だからね、夜9時でも遅いくらいだけど夜にしか外に出られないから門限は9時って決めてるけど…たくさん我慢させてると思うわ」
月華ママが一瞬悲しそうに目を伏せた。
きっと月華ママにもいっぱい思うことがあるから。
ゆっくり顔を上げてあたしを見た。
「いつもありがとうね緋呂ちゃん」
にこりと微笑んだ。
「緋呂ちゃんがいてくれて嬉しいのよ、私も」
それを言いたいのはあたしの方なのにー…
「これからも、穂月のことよろしくね」
また泣いちゃうかと思った。
でも、もう泣いてる場合じゃないね。
だってしあわせなことしかないんだから。
「私も応援してるから、緋呂ちゃんがんばってね!」
「うん、がんばってくる!ありがとう月華ママ!」
今度こそ、今度こそ、…グラウンドへ向かう走るために。
今日のあたしは絶好調だよ。
きっと1番でテープを切って見せるから。
見ててね…!