大嫌い、なのに抗えない。〜冷酷警視との子づくり契約婚〜

抗えない葛藤



 嶺士と結婚して早一ヶ月。
 結婚生活は思っていたより順調だった。

 カレンダー通りの土日祝日休みの燈里と不定期な嶺士は、滅多に休みが合わない。
 例の詐欺グループの捜査で忙しくしているのか、基本的に嶺士は帰りが遅い。
 だが週に一度、もしくは二度は必ず燈里を求めてくる。
 時間が許すのであれば何度も燈里を求めた。

 これはかなり想定外だった。
 子どもが欲しいのが本気だったとしても、排卵日前の月一だけだと思っていた。
 それなのに実際は何度も求められ、毎夜ごとにとろとろに蕩けさせられている。


(どうしてこんなに求めてくるの?妊娠の確率を上げるため?)


 名家の子息である嶺士にとって、子どもは不可欠なのだろう。
 そこまではまだ理解できるが、だからといってここまで求められるとは思っていなかった。


(あんな人、嫌いなのに……)


 嶺士は普段こそ鉄仮面だが、ベッドの上では違う。
 情熱的に激しく、時に儚くも切ない表情を見せる。
 何度も名前を呼び、ゆっくりじっくりと燈里を愛でる。


「燈里……っ」


 突き刺すような瞳で捉え、身体中にキスを浴びせられる度に甘美な悲鳴をあげてしまう。

 あんな男、嫌いだ。なのに抗えない。
 それどころか、彼に愛されているのではないかと錯覚してしまう。

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