【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「お待たせいたしました。本日はご足労いただいてありがとうございます。私、コンテンツ制作局ストーリー制作部ドラマ班でプロデューサーをしております佐々木と申します。同席いたしますのは今回脚本を担当いたします本郷涼介です」
イケおじな感じの中年の男性ともう一人は同年代の男性……本郷涼介?
その名前には聞き馴染みがあって、目を合わせれば懐かしい顔があった。
「本郷です。よろしくお願いします」
「私、千曲流日本舞踊家の月森鳳翠といいます。こちらは千曲流日本舞踊次期家元の千曲慶翠です」
「こちらこそよろしくお願いします」
仕事だからか気づいていないのか丁寧な挨拶だった。
彼、本郷くんは高校生の頃の同級生だ。部活も一緒で、一時期恋人同士だったこともある……だからきっと、名前とかで気づくのではと思ったけど。
でもの時はまだ師範じゃなく名取になったばかりで鳳翠という名は頂いてなかったからなーと考えていると彼の目元が緩んだ。