【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。


「今回はご指名いただきありがとうございます。ですが、なぜ、私どもに打診を? 他にも流派はございますけど」

「……はい。今回、日本舞踊をテーマにと聞いて僕は全ての流派の映像や公演を見に行きましたけど忘れられない衝撃を受けたのを思い出しました。高校生の頃に見た、鳳翠先生の藤娘を」 

「鳳翠の?」

「はい、実は高校の同級生でして」

「……百合、知ってたのか?」


 兄に小声で聞かれ「今回いるとは思わなかったけど」と答える。



「部紹介で見た藤娘が素敵でかっこよくて日舞にも入りました。千曲流ならば素敵な作品が作ることができると思いました。ですが、お二人が納得できないようなら断ってもらって構いませんので」

「ありがとうございます。わかりました、話を詳しく聞いてもいいですか?」

「はい、ではよろしくお願いします」


 本郷くんは私たちにドラマの概要と仮の台本を一冊ずつ差し出した。


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